平成25年1月 新春を迎えて
 新年明けましておめでとうございます
 年配のアメリカ人は、一九六三年十一月二十三日、ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された日、時刻、自分がどこで何をしていたのかを記憶している人は多いでしょう。
 近年のアメリカ人は、二〇〇一年九月十一日、ニューヨークの貿易センター時多発テロを長く記憶していくことになるでしょう。
 ドイツ人なら、一九八九年十一月十日、ベルリンの壁が崩された日を忘れないでしょう。 年配の日本人ならば、一九四五年(昭和二十年)八月十五日の玉音放送を聞いたときのことを、抜けるような青空とともに記憶している人が多いはず。
 歴史の中には、こんなふうに多くの人が「記憶を共有するその日」があります。
 二〇一一年(平成二十三年)三月十一日の「衝撃」を東北人は決して忘れることはありません。
 その日、午後二時四十六分、マグニチュード九・〇という国内観測史上最悪の大地震が発生。のちの調査で「千年に一度の巨大地震」といわれる「東北太平洋沖地震」「東日本大震災」が発生しました。
 そしてその後に起きた悲しくてやるせない出来事を、街も住まいも押しつぶしてしまった自然の力の恐ろしさを、否応なく誰もが強烈に記憶することとなったのです。
 しかし大地震から一年を経過した頃からか?メディアの扱いが小さくなり、首都圏を歩くと震災が風化しつつあるなと感ずるようになりました。師走選挙での各党の公約(マニフェスト)や候補者の訴えもトーンダウンしてきたと感じ、危機感を覚えたのです。
 震災から三年目を迎える本年は、大震災を風化させることがないよう、これまで以上に内外に積極的に働きかけを行ってまいります。
 また、これからの郷土を創っていく次代へ語り継いでいかなければなりません。
 そのためにも一日も早い復旧と、本格的な復興に邁進してまいります。
 災害復旧に向けた取り組みは一部を除いて三月末(年度末)完了を目指して作業を進めております。
 復興への取り組みは、被害の大きかった商店街に再び活気を取り戻すための「中心市街地復興まちづくり計画」は三月末の策定を目指して作業中です。
 災害公営住宅については、本市が直接建設する五十戸と、民間が建設した住宅を買い取る百二十戸、ともに平成二十六年度当初入居開始を目標に事業を進めております。
 カントリーエレベーター建設事業については、本年二月中に建設用地の造成事業を発注し、平成二十六年産米から活用できるよう事業を進めております。
 放射線汚染対策については、子供達を優先にした放射線量低減化対策や、食品などの新基準に基づいた安全確保対策に取り組んでおります。
 市民病院本院建設事業については、大震災の影響や、発生残土の処理と建設資材の出荷制限等により、当初より数ヶ月の遅れが見込まれておりましたが、平成二十六年三月に竣工引き渡しを予定しており、早期の開院を目指してまいります。
 復興道路の役割を果たす道路建設事業については、国道一〇八号古川東バイパスの鶴ヶ埣から旭までの二.三キロメートルと、国道四号三本木地区一.九キロメートル区間は本年三月末の供用開始に向けて工事が進められております。国道一〇八号花渕山バイパスについては、トンネルや橋の工事が順調に進捗中であり、平成二十七年度完了を目指して工事が進められています。新病院へのアクセスとしての国道四号古川亀の子交差点の混雑を緩和するための右折レーン増設工事や、古川東部農免道路整備事業、市道鶴ヶ埣・五蔵橋線については、平成二十五年度完了に向けて事業を進めております。岩出山分院へのアクセス道路、岩出山中央線についても平成二十五年度の完成に向けて事業を進めております。
 また、大地震の教訓に学び、今後のまちづくりの指針となります総合計画後期基本計画、産業振興計画・後期計画、都市計画マスタープランは現在議会で審議いただいておりますし、地区防災計画の改訂については、震災対策編と風水害対策編の見直しに加え、原子力災害対策編も新たに加えて策定をするために住民懇談会や、防災会議で取りまとめ中であります。
 今年は復興に弾みが期待される取り組みも展開されます。
 宮城県で二度目となる仙台・宮城ディスティネーションキャンペーン(DC)が四月から六月までの三ヶ月間開催されます。大崎市では前回、四年前のDCの成果と教訓の上に立って、一般社団法人「みやぎ大崎観光公社」を立ち上げ、県内初の旅行業務第二種を取得し、「再興」「連携」「創造」「感謝」を取り組みのキーワードとして「多彩な旅の提案」「感謝のおもてなしの推進」等を柱として取り組むことにしております。既に、観光大使横綱白鵬関にもご協力いただいて、本市独自の観光ポスターや、ガイドブックの作製を進めております。併せて、まちなか観光を進めるために古川醸室の中に、まちの駅構想による大崎市観光物産センターを開始する準備も進めております。
 自動車の内外装樹脂部品を製造している、愛知県清須市に本社を置く「豊田合成株式会社」が東北地区の品質管理や、部品調達などを統括する新会社「TG東日本株式会社」をこの一月から本市に設立します。カローラのハイブリッド車製造や、東北への新三河的動きとともに、企業進出や、部品の地元調達への期待が高まっております。ものづくり大崎実現に向けての千載一遇のチャンスです。
 おおさき宝大使の活躍が期待されます。本市には、首都圏等で活躍中の大崎市の応援団、四十四名のおおさき宝大使の方々がおりますが、昨年十月見事に二度目の防衛を果たしたWBC女子ボクシング世界、ミニフライ級チャンピオン藤岡奈穗子さんと、九州場所で四場所ぶりに優勝し二十三回目の優勝記録を達成された横綱白鵬関においては、今年も大活躍が期待され、復興支援にご尽力いただけます。一月四日の新年祝賀会にもご出席いただき、復興への士気高揚が期待されます。
 偉大な郷土の先人、鎌田三之助翁の生誕百五十年の記念の年です。翁は、一八六三年(文久三年)一月十三日鹿島台竹谷に生まれ、品井沼干拓事業に打ち込み「わらじ村長」の名で親しまれた偉人です。産業振興のために互市を興し、村財政の立て直しにも尽力されました。鹿島台小学校校門脇には翁の尊像が建立されております。その尊像には、翁の自書「維勤維倹(これきんこれけん)」が揮毫されております。翁が、終生貫き通した基本哲学『仕事に励み,何事にも工夫・倹約して当たる』という教訓です。復旧から復興に向かう私達に、進むべき道を論していただいております。翁の生誕百五十年にあたり、追慕、頌徳の年にしてまいります。
 今年の干支は「巳」ヘビ年です。
 巳は、今まで冬眠していた蛇が春になって地面より這い出す形で、転じて従来の因習的生活に終わりを告げる(漢書・津暦志より)という意味があります。また、蛇は脱皮して成長することから、再生の象徴でもあります。「巳」にあやかり、新年は震災からの復興をさらに加速させ、内陸の復興モデル、宝の都(くに)・大崎を創生してまいります。
 皆様のご多幸をご祈念申し上げ、新年のご挨拶といたします。
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