平成19年12月 湿地と賢明な利用
 去る11月8・9日の2日間、石川県加賀市でラムサール条約登録湿地関係市町村会議に参加する機会を得ました。
ラムサール条約とは、正式には「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といい、1971年イランのラムサールという町で開催された国際会議で採択されたために「ラムサール条約」と呼ばれるようになりました。生物多様性保全に関する地球規模の条約としては最も早期に採択されたもので、先駆的な存在となっております。湿地は、様々な生き物の生息地として重要なばかりではなく、私達の暮らしを支える重要な資源です。ラムサール条約は、国際協力によって、湿地の保全とワイズルース(賢明な利用)を進めることを目的としています。
 現在世界には、1,650の条約湿地があり、日本の条約湿地は1980年に加入した釧路湿原をはじめ、33個所13万293ヘクタールです。
一昨年11月に登録された田尻蕪栗沼(かぶくりぬま)は世界に只一個所、周辺水田とともに「蕪栗沼・周辺水田」として登録されました。蕪栗沼の周辺の水田では、秋の収穫が終わると再び水田に水を入れ、渡り鳥のための「ふゆみずたんぼ」になります。一昨年は7万8千羽のマガンをはじめとした渡り鳥が飛来し越冬する日本一の渡り鳥のオアシスです。
 「ふゆみずたんぼ」は渡り鳥に羽を休める場所を提供するばかりでなく、イトミミズがつくる「とろとろ層」による抑草効果や糞による農地の肥沃化など、農家にも恩恵をもたらしてくれます。ふゆみずたんぼで無農薬・無化学肥料で作られた「ふゆみずたんぼ米」は「奇跡のお米」としてデスティネーションキャンペーンのポスター・パンフレットにも取り上げられ好評を博しております。
 日本は「古事記」にあるように「豊葦原瑞穂国(とよあしはらみずほのくに=あしや稲穂の育つ豊かなところ)」「秋津嶋(あきつしま=とんぼのしま)」と呼ばれているように、「湿地の国」でありました。
 しかし近年の大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済活動などに起因する気候の急激な変動により、湿地を含む多くの生態系では、その復元力が追いつかなくなる可能性が高いことが指摘されております。
 蕪栗沼・周辺水田の取り組みに学び、支援し、自然環境の恵みと持続的に活用できる活動を促進してまいりましょう。
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